カテゴリー別アーカイブ: covid19

混乱の一端

フランス出張から帰国直後の6月末、コロナ感染が判明し自宅隔離に入った。潜伏期間を考えるとおそらくフランス国内か、帰国便の機内で感染したのだろうと思う。熱と咽頭痛が出て近所の発熱外来でPCR検査、薬を処方され、2日で症状は軽快。あとはひたすらテレワーク。3回目のワクチン接種から1ヶ月半だったが、感染と発症予防効果はすでになかったらしい。

接種直後に感染した友人もいるから、その点は驚かないし、多くの人がマスクなしで動いているフランスに3週間いたから、感染しても不思議はなかった。ただ、今回の出張とその後の感染で、未曽有の疫病禍で混乱する行政の一端を垣間見ることができた。

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ルネッサンスは…

場所が首相官邸で行為者が首相だと話は「政治的」になるが、受け取る印象はなかなか庶民的だ。ジョンソン英首相が、昨年のロックダウン中に官邸でパーティーに参加していたと追及されてうなだれている。厳密に言えば、パーティー開催制限の規則には従っていたけれど、それでも申し訳なかったと謝罪。野党は「パーティーに出ていたのに、パーティーではなかったと言っているようだ、ridiculousだ」とさらに追い込み、議場からはyeah!の大合唱。もうこれ以上ないほど英国的な議場の様子は、外野の我々には正直エンタテイメントだ。交わされているやりとりも、言語が英語というだけで、どこかで聞いたような内容。アジアの某国首相は、マスクをせずに8人でステーキ会食だったか。

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Italia, Italia, Italia!

故郷トリノに帰れないまま早2年が経つ、という在日イタリア人の知人がようやくこの暮れ、イタリアに一時帰国する。毎日地球の裏側と無料でビデオ通話ができる21世紀の今日、その技術に助けられたとはいうものの、100ナノメートルのウイルスに邪魔されて国境が越えられなかった時間は長かった。地域紛争から遠い日本で、これほど国境を意識したこともなかったかもしれない。帰郷した彼が故郷の家族や友人と再会する場面を想うだけで、こちらまで気分が上がる。

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Mentre corro

Ho cominciato a correre ogni mattina da novembre l’anno scorso. Mio marito ha l’abitudine di correre da circa 15 anni, ha partecipato alla maratona e mi ha proposto tante volte di farlo insieme. Però dopo avere corso alla mattina, sono sempre molto stanca al punto che non posso lavorare più in questa giornata, quindi ho cominciato a correre e ho smesso più di una volta. Allora stavolta è la prima che si potrebbe dire che ho cominciato a correre perché non era mai successo finora di continuare per più di un mese, e infatti, trovo interessante che, ogni mattina, correndo, possa scoprire le nuove cose, occasionalmente me stessa.

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スモール・ワールド

コロナで始まり、コロナで暮れる一年。年末になると毎年、その一年をまとめる文章に”激動の”とか、”変化の”という見出しがつくが、今年はおそらく第二次大戦後、少なくとも私が知るこの半世紀近くに限った間でも、この見出しが最も似合う年だったのではないかと思う。目に見えること、見えないこと、あらゆることがドラスティックに変わった一年だった。そしてその変化が、世界中で同時に起きた。数日前に南極でコロナ感染者が確認され、これで世界のすべての大陸にコロナが広がったという報道は、自分が生きているこの時代、この世界がどんなふうにできているかをとても端的に見せてくれた。どこにでも行ける、そして逃げ場所はどこにもないスモール・ワールド。”6次の隔たり”は当然のことながら、ウイルス伝播網の狭さでもあった。

ネット上で発信する人が他国に比べて少ない日本の特性が、今まで以上に見えた年でもあり、多様性に乏しい日本のネット上には「集合知」が成立しないと指摘する人もいた。紙かネットか、というツールレベルの問題で足踏みする人も多く、技術は世界トップレベルなのに、ユーザーやコンテンツは”ガラパゴス”と揶揄されることもあり、反論は難しい。図書館や美術館、Moocやデジタルアーカイブなど、さまざまな分野で日本の対応がかなり遅れていると感じている人は多い。好みの問題は脇に置き、ウイルスに背中を押されて進むことができるなら、このコロナ禍にも多少の積極面を見出せる日が来るかもしれない。

Dove si trova la saggezza

A causa del coronavirus, tante cose sono cambiate. Il modo di lavorare, di viaggiare, di fare feste e riunioni familiari è cambiato. Si deve abituarsi a un nuovo modo di vivere quindi si vede piuttosto un lato negativo ma ci sono certo dei lati positivi per tutti. Per esempio, all’università, trasferendo il corso fisico a quello online, mi sembra che, in Giappone, l’idea stessa di università sia piano piano riemersa.

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Nel contagio

Attualmente, tanti libri scritti sul coronavirus sono pubblicati. Si può classificare il loro contenuto in quattro tipi: l’analisi sociale, politica, economica poi scientifica. Per sapere sulla malattia, l’analisi scientifica sarebbe la migliore e pertinente, però per capirlo bene, abbiamo bisogno della conoscenza scientifica. Io, che non conosco bene la medicina, ho preso un libro che ha due caratteristiche, sociale e un po’ scientifica. “Nel contagio” di Paolo Giordano.

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Day1

日本語から他言語への翻訳が難しい言葉の一つが「同調圧力」だ。フランス語にするならpression sociale、つまり社会的圧力。英語ならpeer pressureが最も近いが、微妙に受け取るニュアンスが異なる。

言葉としては大変強力な印象を与える「緊急事態宣言」が発令された。半世紀以上生きてきて、言葉の外形は知っていても、その宣言下で暮らすのは初めてだから、何がどう変わるのか、デカメロンのごとく日々記録したい衝動にかられるが、今回の宣言は対象になった自治体の知事が住民に外出自粛を要請したり、施設使用停止やイベント中止を要請・指示したりできるようにはなっても、「強制力」は働かない。あくまで「お願い」である点、宣言前と変わらない。例外的に私権の制限ができるのは、医療施設開設のための土地や家屋の強制使用と、医薬品など特定物資の収用だ。ならば再び、市民生活は具体的にどう変わるのか。

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インフォデミック

新型コロナウイルスの感染拡大と軌を一にして、インフォデミックが起きている。information epidemic、文字通り情報の”伝染”だ。根本的な問題は一つだけ、信頼できる情報を取得するリテラシーの有無だ。

前提として、新聞などの旧来メディアとネットを対置する人がいまだに多い日本では、とりあえずこの対置が無意味であることから論じる必要があるかもしれない。換言すれば「ネットはフェイクニュースが多い」と批判して新聞(以下、旧来メディアを代表させる)への信頼に拘泥、ネットを情報源として遠ざけることの不合理だ。

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