月別アーカイブ: 2018年3月

In the fade – 女は二度決断する

映画は世相を反映する。移民や難民、テロを扱う作品は、現在の国際情勢と同時進行。ストーリー展開や主眼の置き方はさまざまだが、この作品はひたすら重い。他の作品同様、実際の事件に着想を得ているが、結末が胸に刺さる。言葉がない。「女は二度決断する」が14日から公開される。

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Le confessioni – 修道士は沈黙する

宗教と経済。およそ対極にある価値観がぶつかり合う。信徒が自分の罪を神父に告白する「告解」と、これを他言してはならないというキリスト教の戒律が、物語の鍵となる秘密を神父に独占させ、疑惑がミステリーを構築する。登場人物の立場も音楽も舞台も、すべてが精緻に計算されながら、「良心」という定義し難い問いを投げかける。映画「修道士は沈黙する」が3月17日から公開されている。

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Happy End

内なる過激さがじわじわと迫る。何不自由なく、一見静かに暮らす人々の内面にある目に見えない暴力性、それを自覚しながら意識的に盲目になる“人間らしさ”に、頬を打たれるような作品だ。名匠、ミヒャエル・ハネケの「ハッピーエンド」が公開された。

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The 15:17 to Paris

演じている登場人物たちが、さまざまな意味で突き抜けている。そもそもまずは俳優ではなく、演じる人としては“素人”が主人公として出演しているということ。そして、彼らはテロの被害者であり、自らその役を演じているということ。クリント・イーストウッド監督の映画、「15時17分、パリ行き」が公開された。

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